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『The Indifference Engine』を読んでみた [徒然日記]

娘に勧められて『The Indifference Engine』を読んでみました。『虐殺器官』や『ハーモニー』で有名な伊藤計劃の短編集です。惜しむらくも若くして亡くなった人気SF作家の作品群です。


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伊藤計劃らしく、全般的に暗くおどろおどろしい作品が多いです。その中でも、本の題名ともなった短編『The Indifference Engine』がすごく印象的でした。作中で少年兵だった少年と元上官との会話にこんなくだりがあります。(かなり端折ってます)

少年兵「でも、ここには敵だった連中がいる」
元上官「戦争は終わったんだ。商売をするにはみんな仲良くやっていかなきゃならん」
少年兵「連中がどんなひどいことをしてきたか、あんたは教えてきたじゃないか!」
元上官「それは、戦うために必要だったからだ」
少年兵「嘘だったというのか!?」
元上官「嘘ではない。でも戦うには歴史が必要だ。戦うための拠り所であり、奴らと俺らを隔てるための歴史がな」
少年兵「戦争のために、嘘の歴史を作ったんだろう!」


いやー、先見の明があるとしか言いようがありません。洞察力がすごいですね。あまり政治的なことをブログで書くのは憚れますが、最近70年以上前の遥か大昔のことが頻繁に蒸し返される背景には、こういうこともあるのかなと思ってしまいました。

短編の中には、まだ洗練されていない駆け出しの頃の作品もあり、引き込まれるほどの感じではありませんが、伊藤計劃ファンには彼の世界観に十分浸れる一冊だと思います。
(^_^)/~






The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 伊藤 計劃
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/03/09
  • メディア: 文庫



虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 伊藤 計劃
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/02/10
  • メディア: 文庫



ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 伊藤 計劃
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/12/08
  • メディア: 文庫




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